警察官が玄関の鍵を壊して家の中に入っていきました。

誰もいないでくれ、入院していてくれ、私はひどく動揺していました。

中から死亡者一名の声、私はその場で座り込んでしまいました。

一縷の望みも・・・・涙がこぼれ落ちました。

私が一番恐れていたことが現実になってしまいました。

警察官が死亡者の確認をお願いします。私以外確認出来る者が居ません。

彼はパジャマ姿でベッドに横たわっていました。

検視官らしき人が、死後概ね一週間経過していると言っています。

胸を押さえ、顔は少し腐敗が進んでいますが、間違いなく彼でした。

警察官が、これ以後お会いすることは出来ません。司法解剖後荼毘に付しますからとのことでした。

50数年間友人としての彼との別れは余りにも突然にやってきました。

我家に食事にやってきて、にこにこ笑う元気だったころの彼の顔が浮かびます。

もっと強く施設への入所を勧めればよかった。無念でなりません。

72年の人生お疲れさまでした。安らかにお眠りください。

今晩、女房と彼の家の玄関に花束を手向けに行こうと思います。